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京都から消えたもの⑤ 「機を織る音」 - 2013.06.12 Wed




西陣で生まれ育った同僚男性が、「京都からなくなったものは、音かな」と教えてくれました。

西陣のあたりでは、以前はいつも多くの家々から、機を織る音がしていたそうです。
朝早くから夜遅くまで規則正しく響く機織の音。いつも当然のように周囲にあふれ、
子守唄のようにやさしく肌になじむ音。
それが、ここ数十年のうちに少しずつ減っていき、とうとう消えてしまいました。



西陣織は平安京遷都とともに誕生し、応仁の乱以降、
今の西陣界隈を本拠地として発展を遂げました。
長い歴史の中では、度重なる戦乱、町を焼き尽くす大火や大飢饉、
時には贅沢を戒める理不尽な法令によって、度重なる窮地に立たされました。
しかしその都度、新らしい技法の開発、機械化、国の保護などを受け、必ず復興をとげました。
そして何よりも、西陣織の技術を培った職人たちの底力が、常にこの伝統工芸を支え続けてきたのです。

ところが昭和のバブル以後、着物文化は低迷し、深刻な危機に立たされています。
機織りの部品を作る職人がいなくなってしまったという現実もあり、復活すら危ぶむ向きもあります。



お豆腐うりのラッパの音、ロバのパン売りの音、石畳を転がる小さな下駄の音、
井戸のきしむ音。路地で遊ぶ子供の歓声。
何かがなくなっていく事は、同時に、この世に望まれて新しい何かが生まれてくるという事なのですが。

物としての大きさのない『音』は、かえって大きな存在感をもつのかもしれません。

「私にとっては京都という国がなくなってしまったようなものです」と男性はいいました。
なくなっていく京都とはどのようなものか、と訊くと、
うーんと首をひねり、答えはかえってきませんでした。



実は、今も、見学者を受け入れてくれる工房は京都市内にいくつかあります。
私も最盛期を経験された方の元にお邪魔させていただきました。
工房は当時のそのまま。薄暗くてひんやりとした土間に、艶のある木でできた大黒柱のような織機。
古いお家なのに黴臭さや埃のようなものは一切なく、本当に当時のままに過ごされていました。
かつて素晴らしい千手観音の掛け軸が織られた工房、そこで機を織る音を聞かせて頂きました。
柔らかくぶつかる木の機械が、人のぬくもりと鼓動を感じさせる、
それを、聞いてもらいたくて一つの場面を作りました。


根本 有子
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柳沼昭徳氏の演出のもと、
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