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京都から消えたもの 【最終回】 しあんくれーる - 2013.07.09 Tue




「しあんくれーる」

「しあんくれーる」を取り上げたきっかけは、喫茶店が好きだからです。
「京都には、六曜社さんとか昔からある喫茶店があるんだから、今はなくなってしまった喫茶店もあるのだろうなぁ」
と思って調べると、なくなった喫茶店の一つに「しあんくれーる」があって、
“ジャズ喫茶”という言葉の響きにも「うわ!森田童子やん!!」とワクワクして、
取り上げさせていただくことにしました。

しあんくれーるは、1956年~1980年代後半まで、河原町通りと荒神口通りの交差点北東角にありました。
「しあんくれーる」という名前は、
フランス語で“明るい場所”という意味の“Champ Clair”と、
日本語の「思案に暮れる」がかけられて名づけられたそうです。
赤いレンガ造りの2階建てで、1階は「クラシック喫茶」2階は「ジャズ喫茶」で、
「スイングジャーナル」というジャズ専門の音楽誌に取り上げられるほど有名でした。

薄暗い店内は、お客さんのリクエストに応じたレコードが大音量でかけられていて、
美味しいと評判だったコーヒーや瓶ビール、ウイスキーなどを飲んで煙草をくゆらせながら、
本を読んだり音楽に聴き入ったり、ほとんどのお客さんが独りで過ごしておられ、
まさに「思案に暮れる」にはうってつけの空間だったようです。

「しあんくれーる」を舞台にして発表することになって、どんなふうに創ろうかと考えていたら、
高野悦子さんという方の日記(「二十歳の原点」という本です)に、
しあんくれーるで過ごした日のことが記されていましたので、
参考にさせていただいて創りました。

今はもうないあかるい場所、しあんくれーる。
私もその空間を味わってみたかったです。



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京都から消えたもの ⑥ 京一会館 - 2013.06.27 Thu



【京一会館】

かつて一乗寺にあった伝説的名画座。
海外の映画からピンク映画まで何でもありで2~3本立て上映を格安でする映画館だった。
小さくてボロボロで、中はたばこの煙が揺れていて、寒いし暑い、場末の映画館だが、
今も語り草になるような、素晴らしい映画館で、数々の逸話が残っている。
もともと映画が好きなので、京一会館を選んでお芝居を作ってみようと思ったのはそれが大きい。
調べるうちに、魅力的なエピソードが多く見つかり、話にしたときおもしろいだろうと思った。
なにより子供の頃にここの話を実はよく聞かされていたという事実もあったし。
こういう場所がないなんだか悔しい気持ちもあった。
まぁ映画が好きだし、映画館が好きという事。
そういう見つけたエピソードをごった煮してみたものを作ってみた。



京都から消えたもの⑤ 「機を織る音」 - 2013.06.12 Wed




西陣で生まれ育った同僚男性が、「京都からなくなったものは、音かな」と教えてくれました。

西陣のあたりでは、以前はいつも多くの家々から、機を織る音がしていたそうです。
朝早くから夜遅くまで規則正しく響く機織の音。いつも当然のように周囲にあふれ、
子守唄のようにやさしく肌になじむ音。
それが、ここ数十年のうちに少しずつ減っていき、とうとう消えてしまいました。



西陣織は平安京遷都とともに誕生し、応仁の乱以降、
今の西陣界隈を本拠地として発展を遂げました。
長い歴史の中では、度重なる戦乱、町を焼き尽くす大火や大飢饉、
時には贅沢を戒める理不尽な法令によって、度重なる窮地に立たされました。
しかしその都度、新らしい技法の開発、機械化、国の保護などを受け、必ず復興をとげました。
そして何よりも、西陣織の技術を培った職人たちの底力が、常にこの伝統工芸を支え続けてきたのです。

ところが昭和のバブル以後、着物文化は低迷し、深刻な危機に立たされています。
機織りの部品を作る職人がいなくなってしまったという現実もあり、復活すら危ぶむ向きもあります。



お豆腐うりのラッパの音、ロバのパン売りの音、石畳を転がる小さな下駄の音、
井戸のきしむ音。路地で遊ぶ子供の歓声。
何かがなくなっていく事は、同時に、この世に望まれて新しい何かが生まれてくるという事なのですが。

物としての大きさのない『音』は、かえって大きな存在感をもつのかもしれません。

「私にとっては京都という国がなくなってしまったようなものです」と男性はいいました。
なくなっていく京都とはどのようなものか、と訊くと、
うーんと首をひねり、答えはかえってきませんでした。



実は、今も、見学者を受け入れてくれる工房は京都市内にいくつかあります。
私も最盛期を経験された方の元にお邪魔させていただきました。
工房は当時のそのまま。薄暗くてひんやりとした土間に、艶のある木でできた大黒柱のような織機。
古いお家なのに黴臭さや埃のようなものは一切なく、本当に当時のままに過ごされていました。
かつて素晴らしい千手観音の掛け軸が織られた工房、そこで機を織る音を聞かせて頂きました。
柔らかくぶつかる木の機械が、人のぬくもりと鼓動を感じさせる、
それを、聞いてもらいたくて一つの場面を作りました。


根本 有子

京都から消えたもの④ 「衣笠球場」 - 2013.06.04 Tue



【衣笠球場について】
 現在、立命館大学のキャンパスがある敷地内に
衣笠球場という野球場があったそうです。
元々は大学の野球部用に創設されたらしいのですが、
戦後プロ野球チームが増えて、球場が足りなくなったこともあり、
プロ野球の試合も行われていたそうです。

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 大洋ロビンスというチームが本拠地としていたらしく、
今程、娯楽の多くない時代において
人々の胸を熱くする貴重な場であったと言います。
テレビで活躍されていた故 山城新伍さんも球場に通っていたそうで、
その思い出を著書の中に書かれていました。

 僕の年代でもそうなのですが、プロ野球選手って
やっぱり憧れの存在だと思うんですよね。特に少年にとって。
僕は立命館大学に通っていたんですが、
そこに球場があったことなんて全然知らなくて。
いつも何気なく通っていたキャンパスの中に球場があって、
そこで人々が野球を観戦して、楽しんでいたのだと思うと、驚きでした。

 今では球場の面影は全くないのですが、
立命館大学近くの電柱には、今でも、衣笠球場と書かれた、
住所を示すプレートが付けられたままになっているそうです。
幻の球場とも言われる衣笠球場で最後に行われたプロ野球の試合に
思いを馳せてみました。



平野 雄一

京都から消えたもの③ 「丸物百貨店」 - 2013.05.28 Tue



丸物百貨店は
現在の京都駅前ヨドバシカメラが立っている場所に、
かつて存在していた“京都発祥の”百貨店です。
この丸物百貨店は、大正時代に生まれ、
半世紀に渡り愛された地元の百貨店ですが、
経営不振により、35年前に近鉄百貨店に買収され、
さらに2007年のヨドバシカメラ進出により
その建物も取り壊されてしまいました。


img_1132962_31846187_0.jpg


上の写真を見た時、小さい頃に連れて行ってもらった
百貨店に入った時の化粧品と食品の匂いの混じったを思い出し、
題材に選びました。
(出身が京都府外なので、残念ながら
丸物でもなければ高島屋でもないですが。)

百貨店といえば、
僕の幼い頃ぐらいまでは、
日曜に家族で行ってお子様ランチ食べて、
といったベタなイメージがあった気がするのですが、
最近はファッションビルとしての側面ばかりで、
百貨店に入ってもあまり子供連れの家族は見かけません。

この丸物についての資料は少なく、
当時を知っていそうな70歳前後の方、何人かにお話を伺ったところ、
ある紳士は、「当時は百貨店なんて金持ちの行くところ」と答え、
別のご婦人には「京都で百貨店といえば四条周辺で、
丸物にはあまり行った記憶がない」と一刀両断されました。
さほど「惜しまれつつ閉店」というわけでもなかったのかと、
少し残念な気持ちになってしまいました。

このお芝居は、数少ない資料と、
その紳士が当時撮った8mmフィルムの映像を元に、
僕が幼いころに感じた百貨店の匂いを思い出しながら作りました。


広瀬 信輔

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Author:ハナレズ
柳沼昭徳氏の演出のもと、
2011年7月の第一回公演
「アーカイヴ・定吉1950」、
2012年7月の第二回公演
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を経て「ハナレズ」はいよいよ
最終第3期へと突入します。
新たなメンバーを加え、
引き続きハナレズブログを
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以後の展開をお楽しみに!

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